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2024.6.29

イベントレポート

退路を断って未来を切り拓く「名古屋商工会議所 若鯱会」

当協会は、日本のエンジェル投資環境を整え、スタートアップの成長を後押しする活動をしています。月に1度のペースで、活動報告、最新ニュース、ピッチイベントのレポートなど、エンジェル投資に関わる様々な情報を発信していきます。 代表理事の山本敏行が、名古屋商工会議所「若鯱会」主催の令和6年度講演会メインスピーカーとしてお招きいただき、登壇しました。 若鯱会は、名古屋・東海エリアの若手経営者が集まる日本最大級の異業種交流団体で、令和6年度の年間テーマは「道を切り拓く」。 「日本のより良い未来のために、退路を断って自分がやるべき道を切り拓く」 山本がなぜ「エンジェル投資家」を増やす活動をしているのか、講演内容の一部を紹介します。 名古屋商工会議所 若鯱会 
一般社団法人エンジェル投資家協会

 

小学生の時にお小遣いをカツアゲされて、自力で稼ぐことに目覚めた

母親からの「あなたはできる子や」という魔法の言葉に勘違いして、「自分は天才だ!」という根拠のない自信に満ちあふれていた小学生時代。 ラジコンを買うために貯めたお金を中学生にカツアゲされ、内職で月3万円稼ぐようになった。 中高は大阪の名門私立に進むも、パソコンとインターネットにのめり込み、月20万円売り上げる高校生起業家になった。一方、同級生からは「犯罪者」と呼ばれるように。 大学の時に好きな台湾人女性を追いかけてロサンゼルスに留学するも、3股をかけられていた事実が発覚し撃沈。時は2000年のドットコムバブル全盛で、ホームページの売上げアップ支援サービスを提供する「EC studio」 を設立。

「制限があるから出来ない」ではなく「制限があるから生まれる」Chatwork創業

帰国後は家業を継がせたい父親との軋轢に苦しむが、合間の時間をすべて自分のビジネスに費やし法人化。 ビジネスは好調にも関わらず、創業メンバー5人中3人が辞める事態に…。経営を学び直すために1年間に1,000人の社長に会いにいき、社員満足度日本No.1の会社になった。 また、「日本人をもっと輝かせたい、ITでもっと日本をよくしたい」と思うようになり、人生の大きな転機に。 「これだったら稼げるもの」はつくらず、「グローバルに通用するもの」だけをつくると決心する。 当時電話とメールがまだまだ主流だったが、10年後を見据えて「メールを無くす」を目的に、ビジネスチャットツール「Chatwork」をリリース。 世界で通用する国産初のビジネスプラットフォームを広げるべく、2012年に米国法人ChatWork Inc.をシリコンバレーに設立。

「血気には老少有りて 志気には老少無し」アメリカでのチャレンジに終止符

自己資金を焼け石に水のごとく投入して、ビジネスモデルをブラッシュアップしていたが、『Slack』が生まれ、Microsoft『teams』がリリースされることを知る。 アメリカは「トランプ氏とバイデン氏」のように、1つの国の中に2つの国が共存するようなところがある。当時、西海岸では「Mac & Slack」、東海岸では「Windows & Skype」が主流になりつつあった。 teamsが無料で使えるのに、有料のChatworkがガリバーに勝てるわけがないと判断し、米ナスダック上場から日本国内での上場に切替えた。 (時価総額550億円超で東証マザーズ上場を果たす) 「世界を席巻するぞ!」と血気盛んだったが、自分のエゴを捨て、アメリカでのチャレンジは一旦終わりとなった。 名古屋商工会議所 若鯱会 
一般社団法人エンジェル投資家協会
山本敏行

全てを捨てて第二の人生がスタート

「日本に戻って何をしよう」 「何のために自分はアメリカに行ったのか」 「前のようなアウトプットの人生に戻るのはイヤだ」 CEOを退任し、70%保有していた株を1円でCTOだった弟に譲る。 プライベートでは離婚をし、家や車含めて財産全与したため、正真正銘のリセット、無一文になった。 今思い返しても、この時期は本当に大変だった。それでも、このまま妥協の人生を続けるよりはマシだと思った。 人は痛みを伴う脱皮を繰り返して、一回りも二回りも大きくなれるのではないか。 日本を良くするために自分ができることを見つめなおす「人生第二章」がスタート。

自分の強みを活かして、もっと大きなことを

地方創生プロジェクトを成功に導いた頃、コロナが流行して対面で人と会えず、スタートアップ企業は資金調達ができない窮地に立たされていた。 中小企業経営とスタートアップ企業経営は、水と油ほど違っている。そのどちらも知っている自分だからこそ、良いところだけを掛け合わせることができる、と確信。 ベテラン経営者がエンジェル投資家となって、起業家を発掘して育てる、日本初、世界初のオンラインプラットフォーム『Power Angels』をローンチ。 エンジェル投資とは、ただお金を出すだけではなく、「世の中を変えるようなチャレンジをしている若手起業家の船に乗り、冒険を共にする行為」だと定義している。

一般社団法人エンジェル投資家協会の設立

パワフルなエンジェル投資家を増やす活動を進めるうちに、投資税制だったりガイドラインだったり、業界特有の課題が見えてきた。 日本には古い時代につくられたルールや、諸外国では当たり前になっているのに導入が遅いものが沢山残っている。 新規ビジネスを「ルール改正ありき」で進めていくため、当協会を設立。 わかりやすいところでは、道路交通法の改正を前提として進めた乗り物『LUUP』、株式投資型クラウドファンディングの法改正により実現した『FUNDINNO』など。 エンジェル投資家による出資額が「ファンド総額の2分の1未満」という制限があるが、これはエンジェル投資家にとって大きな足かせとなっているため、法改正を金融庁にアプローチしていた。 「特区でやってくれるのなら」と、約3ヶ月で施行が決定。 福岡県・福岡市はスタートアップ金融・資産運用特区に指定され、制限適用が除外となる。 (北海道・札幌市、東京都、大阪府・大阪市も特区となっている)

 


一般社団法人日本エンジェル投資家協会では、エンジェル投資家向けの「エンジェル会員」、スタートアップを支援している自治体や企業・団体向けの「パートナー会員」を募集しています。 会費は無料です。ぜひ一緒にスタートアップの成長を支える活動をしませんか? 詳しくはこちら → https://j-angel.jp/

講演会概要

  • 開催日時:2024年6月14日(金)19:00~21:00
  • 開催場所:名古屋市公会堂 大ホール ※会場とオンラインのハイブリッド開催
  • 主催者:名古屋商工会議所 若鯱会 令和6年度事業委員会
  • 主なプログラム:
    • 第一部:Chatwork創業者・山本敏行氏による経営者に必要な起業家マインド
    • 第二部:スタートアップ企業と投資家のピッチコンテスト!
  • 募集人員:680名
  • 若鯱会とは: 500名を超える会員が所属し、地域経済の活力維持に寄与する日本最大級の異業種交流団体です。会員は経営者としてのスキルアップ、ビジネスチャンスの拡大はもちろんのこと、「真の友達ができた」「会員同士で深い絆ができた」「仕事もプライベートでも感謝の気持ちが持てるようになった」など、会での活動を通じて新しい価値・新しい未来を見出して、企業の持続的発展に繋げています。 名古屋商工会議所 若鯱会 
一般社団法人エンジェル投資家協会