2024.8.30
イベントレポート
当協会は、日本のエンジェル投資環境を整え、スタートアップの成長を後押しする活動をしています。月に1度のペースで、活動報告、最新ニュース、ピッチイベントのレポートなど、エンジェル投資に関わる様々な情報を発信する予定です。
2024年8月に2回目の『太秦NINJA PITCH』が開催されました。昨年に引き続き日本エンジェル投資家協会が企画運営から携わり、サイドイベントとして、アメリカ・ジョージア州から視察団を招いての大がかりなプロジェクトとなりました。
ジョージア州視察団のお話しを中心に、スタートアップ、企業、自治体を巻き込んだグローバル展開についてレポートします。
100年以上前から日本の娯楽として愛されてきた「時代劇」。近年人気は右肩下がりで、5つあった時代劇のスタジオも、今や東映と松竹の2つだけといいます。「日本の文化でもある時代劇スタジオをそう簡単には無くせない」と考える一方、会社の経済的な重荷になっていました。 そんな中、京都市の議員の方からの依頼があり、京都という地の利を活かし、スタートアップ×グローバル、ゲーム、エンタメという切り口で昨年開催された『太秦NINJA PITCH』は大成功に終わりました。
今年も同じことをやってはつまらない。 京都に本社を置き、グローバルで勝負をする任天堂、村田製作所、島津製作所のように、今年も京都から何か新しいチャレンジをしよう、とプロジェクトが動き始めました。
皆さん、アメリカの映画産業の本拠地と言えばカリフォルニア州の「Hollywood」をイメージしませんか? 実は筆者もそれ以外の州を想像していませんでした。
現在、堂々の1位はなんと「ジョージア州」なんです!元々は39位だったそうですが、10年前に最大30%の税制優遇を取り入れ、気候も土地も良いとの理由でスタジオがどんどん出来て、アメリカ最大のスタジオ(トリリス・スタジオ)も有しています。
たくさんの皆様のご協力のもと、映画の街「ジョージア州」の議員並びに映画関係者ご一行様を、NINJA PITCHに合わせたタイミングでお招きすることになりました。
今年のイベントは多くのスポンサーも付いて、昨年からかなりレベルアップしたものになりました。 審査員には、京都府副知事の鈴木一弥 氏、東映(株)・取締役の小嶋雄嗣 氏、松竹ベンチャーズ(株)・取締役の森川朋彦 氏、当協会理事の山本敏行 ほか9名、MCは海外でも有名な落語家・桂三輝(Katsura Sunshine)氏が担当しました。 スタートアップ6社が登壇できるピッチに約60社の応募があり、最優秀賞はamulapoの松広 航氏。「宇宙を利用して社会の仕組みを変える」をコンセプトに、太秦映画村に『宇宙茶会~無重庵~』を設置するというものでした。
会場は世界文化遺産として京都のお寺の中でも由緒正しき「仁和寺」にて。 「京都×ジョージア 2大映画都市が交わる、これからの映画ビジネス」をテーマに、サイドイベントも開催されました。
短い日程で京都の魅力を伝えること、映画の街としてのポテンシャルを感じさせること、そしてキーパーソンに会わせることに成功しました。
【1日目】
・京都府・東映社長・松竹社長×ジョージア州のゲストで「パネルディスカッション」
・エンタメ系スタートアップ6社の「NINJA PITCH」
・マイケル・ジャクソンやマドンナから認められた世界的ダンサー KENTO MORIによるNINJAパフォーマンス
・東映映画村「江戸酒場」で2次会
【2日目】
・東映と松竹のスタジオツアー
・京都観光
・キーパーソンとの会食パーティー
【3日目】
・京都府の西脇知事、京都市の松井市長を表敬訪問
・けいはんな(京都・大阪・奈良)地区視察
日本の地方自治体が、地域の特性を活かし独自性を持った政策や戦略を展開することは、地域経済の持続的発展において重要なポイントです。東京は日本経済の中心であり、その成功事例が参考になることもありますが、地方自治体が同じやり方を模倣して上手くいくわけではありません。
地方ごとに異なる歴史、文化、自然資源、産業基盤を活用した、地域ならではの戦略的な取り組みが、その地域の魅力を最大限に引き出し、地元住民や外部からの関心を集める重要な手段なのではないでしょうか。
たとえば、地場産業や観光資源を活かした地域ブランディングや、地域独自のスタートアップ支援策を講じることは、地域経済の活性化に大きな役割を果たします。また、昨今のDX化やグローバル化の進展に伴い、地方自治体は新たな技術や資本を取り入れ、独自の革新モデルを生み出す機会が増えています。 他国の企業や投資家、起業家とのパートナーシップを組むことで、地方は新たな価値を創造し、国際的な競争力を高めることが可能です。
今回は国際的にも知名度がある「京都府」との取り組みを紹介しましたが、当協会とともに、地域に根ざしたオリジナリティを追求し、持続可能な発展と国際的なプレゼンスを確立していきましょう。
【山本敏行よりコメント】
とにかく初めてづくしのイベント開催で、準備は色々と大変ではありましたが、確実に未来に繋がる第一歩になったと実感しています。
「京都」は日本人にとっても入り込むのが難しいエリアと言われていますが、海外の方にとっては尚更です。「アジアのハリウッドをつくりたい」「5年以上前から京都で何かしたいと思っていた」という彼らの話を聞き、京都府、京都市を巻き込んでイベントを開催できたことで、今後の地方自治体のグローバル展開の手応えを感じました。
アメリカ大統領選と時期が重なり、当日になるまで最終的に何名、どなたが来られるのかわからない状態での準備でした。当日に航空会社のダブルブッキンが発生し、押さえていたチケットが無効になったり、2日目以降にも数名来られたり・・・ジョージア州上院議員のドンゼラ氏が車椅子利用だという情報も当日わかり、砂利道を、階段を、畳をどうするかというハードルをクリアしたりと、なかなかエキサイティングでした。
上記のようなすったもんだがありながらも、各イベントは大盛況で、ジョージア州、京都府、関係者一同が大満足の視察となりました。 日本エンジェル投資家協会で企画し実施した「太秦NINJA PITCH」のような取り組みが、他の地域にも波及すべく動いていきたいと思っています。
一般社団法人日本エンジェル投資家協会では、エンジェル投資家向けの「エンジェル会員」、スタートアップを支援している自治体や企業・団体向けの「パートナー会員」を募集しています。
会費は無料ですので、ぜひ一緒にスタートアップの成長を支える活動をしませんか?
詳しくはこちら → https://j-angel.jp/
「京都×ジョージア 2大映画都市が交わる、これからの映画ビジネス」