2024.7.31
コラム
当協会は、日本のエンジェル投資環境を整え、スタートアップの成長を後押しする活動をしています。月に1度のペースで、活動報告、最新ニュース、ピッチイベントのレポートなど、エンジェル投資に関わる様々な情報を発信していきます。
スタートアップの成功は、単なる技術やアイデアだけにとどまりません。オンラインとオフライン、それぞれの交流が生み出す偶然の瞬間や深い信頼が、未来を切り開くカギとなるのです。 この記事では、エンジェル投資家がオンラインとオフラインを効果的に使い分け、スタートアップ投資における成功確率を高める方法を探ります。
2024年7月4日~6日まで京都で開催された『IVS2024 KYOTO』は、エンジェル投資家や起業家たちが集う日本最大級のスタートアップイベントとして、今年も注目を集めました。
多くのブース展示が行われ、対面だからこそ生まれる様々な出会いと、最先端のテクノロジーを駆使したオンラインセッションやリモートプレゼンテーションなど、参加者たちは物理的な距離を超えてつながる新しいコミュニケーションを体験しました。
山本:「IVSのような大規模なイベントでは、現地で特定の知り合いに会うことを重視していません。むしろ、その場でしかない出会いや、10年ぶりに再会するような偶発性を大切にしたいと考えています。 また、自分が中心となった出会いを意識することで、予期せぬビジネスチャンスを生まれることがあります。
実際、当協会ではIVS 1日目に「エンジェルナイト」、2日目に「起業家ナイト」というサイドイベントを開催し、1+1=3になるような価値が生まれました。」
日頃のオンライン会議では、時間や場所にとらわれずに多くの人々とつながることができる一方で、リアルな対面での交流が持つ強力な信頼構築の力も再確認されています。
特に、オンラインでのプレゼンテーション後に、オフラインでの対面ミーティングを行うことで、ビジネスパートナーシップがさらに強固なものになるなど、それぞれの重要性が強調されたことでしょう。
エンジェル投資家と起業家の出会い方が多様化する中で、意識的にバランスを考えていくべきポイントです。
オンラインのコミュニケーションは、その利便性とタイパの良さから近年ますます重要性を増しています。オフラインでかかる移動時間やコストの削減が可能となり、物理的な制約を受けることなく、多くの人々と交流することができます。
しかし、オンラインでのやり取りにはいくつかの課題があります。
例えば、画面越しのコミュニケーションでは、微細な表情の変化や身体のジェスチャーといった非言語的なシグナルが伝わりにくく、誤解を生じるリスクもあります。
特に、エンジェル投資家と起業家の関係においては、長期的なパートナーシップを築くための信頼関係が不可欠です。
オフラインの対面コミュニケーションは、「人となり」を知ってもらい、信頼を築くために非常に効果的です。
山本:「オンラインは、目的を持ったコミュニケーションに非常に適していますが、それだけでは偶発的な出会いや新たな発見が生まれにくいのも事実です。
対して、オフラインでの出会いやコミュニケーションでは、何気ない会話から生まれるアイデアや関係性が未来につながることが、よくあります。
また、出会いを求めてイベントに参加するだけでは、教科書的なインプットにとどまりがち。少人数の飲み会やカジュアルな場での会話こそが、裏話やその場でしか得られない真のインプットを生むと感じます。
このような場を定期的に作ることが、エンジェル投資家にとっても、起業家にとっても重要なのではないでしょうか。」
オンラインとオフラインの融合は、今後のビジネスコミュニケーションにおいて欠かせない要素となるでしょう。
まず、IVS2024 KYOTOのような信頼できるイベントでリアルに出会い、信頼を構築します。その後オンラインでのプレゼンテーションやディスカッションを通じて関係を深めながら、重要な意思決定や契約締結の場面では、再度対面でのミーティングが行われるのが一般的です。
また、大人数のオンライン会議は、効率的に情報を伝達する手段として非常に有用ですが、一方で個別の関係構築には不向きです。このため、オンライン会議で大枠の共有を終えた後に、少人数でのオフラインミーティングを実施することで、個別のニーズに応じた深い関係構築が可能になります。
エンジェル投資家は起業家の本質やビジネスモデルの理解を深め、より的確な投資判断を下すことができます。
エンジェル投資家としての成功は、投資先の起業家との信頼関係に大きく依存します。 IVS2024 KYOTOのケースで示したように、オンラインとオフラインのハイブリッドなコミュニケーションが、これからのスタンダードになることは間違いありません。
しかし、成功確率を上げるためには、その使い分けが非常に重要です。
「時間」にフォーカスして考えると、「生産的な時間」と「非生産的な時間」に分けることができます。
オンラインの利便性を駆使して、情報の共有や迅速なコミュニケーションを行い「生産的な時間」のコスパを徹底的に上げていきます。そこで生まれた時間は「余白」となり、新しい情報に触れたり、未知の場所に行ったり、自分の好きなように自由に使うことができる「非生産的な時間」になります。
ビジネスを意識しない、オフラインの飲み会だからこそ、未来に繋がる偶発的な副産物が生まれることがあるのです。
単なる「効率やコストの削減」を超えた価値を意図的に構築し、深く築かれた人間関係や信頼から生まれる「本質的な繋がり」を意識したいものです。
山本:「エンジェル投資家として、オンラインでの利便性を活用しつつ、オフラインでの対面交流を怠らないことが成功の鍵です。
定期的に少人数でのミーティングや飲み会を開催し、真のインプットを得る場を作ることで、新たなビジネスチャンスを発見し、投資の成功確率を高めていきましょう!」
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