2023.11.30
イベントレポート
当協会は、日本のエンジェル投資環境を整え、スタートアップの成長を後押しする活動をしています。月に1度のペースで、活動報告、最新ニュース、ピッチイベントのレポートなど、エンジェル投資に関わる様々な情報を発信していきます。
2023年11月に京都で開催された「太秦 NINJA PITCH」に、代表理事の山本敏行が審査員の一人として参加いたしました。日本エンジェル投資家協会が企画運営から関わったこちらのピッチは、通常のものとはひと味違った、京都らしさ溢れる内容となり、大盛況に終わりました。
皆さん「太秦」って漢字、読めましたか？
「たい・・たい・・・・たいしん・・・？」（検索する筆者）
正解は、京都府の地名「うずまさ」です。
ー 全国各地で、自社のビジネスモデルを紹介する「ピッチ」が行われていますが、「太秦 NINJA PITCH」はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか。
山本：当協会のパートナー会員である京都府の方と、「京都らしいスタートアップ支援」についてディスカッションを重ねていました。「京都らしいスタートアップ」と考えた時に思い浮かんだのは、映画･ゲーム･アニメ･漫画といったエンタメ領域に強いこと。そして世界に通用するグローバル都市であること。
京都府は2010年に「太秦メディアパーク構想」という、京都ならではの様々な資源を活かした映画･映像産業の振興に取り組む発表をしていたので、それならば東映の撮影所がある「太秦」でビジネスピッチを開催したら面白いのではないか？という提案をしたのです。
エンタメ領域にフォーカスした、未だかつてない企画内容になったと思います。 そもそもエンタメ系スタートアップに特化したピッチはあまり無かったですし、老舗映画会社である東映、松竹と連携できるならば、全国から面白い会社が集まるのではないかという期待がありました。
ーこうして、太秦メディアパーク構想実現に向けた最初のイベントが企画、開催されたのですね。
厳しい応募基準を通過した、選りすぐりの6名の起業家が登壇。
審査員には京都府副知事、東映、松竹、著名なVC、エンジェル投資家など8名が揃いました。
ピッチの会場は、時代劇などの撮影をする東映京都撮影所。普段、一般人が立ち入ることができない場所に、東映史上初めて外部の方を招いたイベントが実現しました。
グローバルを意識して、MCは忍者の格好をしたSean Nicholsさん。米俵、金屏風、宝箱などの小物が会場の雰囲気を盛り上げます。
ピッチ審査の結果は、以下の通りです。
● 松竹賞：株式会社アンダム（福岡県） 生田知久 氏
- 事業内容：AI寺子屋プラットフォーム ～AIコーチを10分で作れてシェアできる新時代の学校
- 賞金30万円、松竹グループとの協業権
● 東映賞：MatchHat（京都府） 梅若ソラヤ 氏
- 事業内容：クリエイター主導のプロジェクト実現をサポートするグローバルプラットフォームの開発
- 賞金30万円、東映京都撮影所内のコワーキング利用権１年分
参加者全員には、AWS Activate プロバイダーとして、AWS無料利用クレジット等の特典が提供されました。
山本：全国から30以上のご応募をいただき、ワークショップ含めた厳しい審査で選ばれた6名のピッチは、クオリティーが高く素晴らしいものでした。映画業界の老舗である松竹、東映と協業することで、どんなケミストリーが生まれるのかという点も、受賞の大きなポイントです。
惜しくも入賞は逃しましたが、VRの実演をしてくれた日本XRセンターの小林大河さんは、この日のためにサンフランシスコから来てくれました！メンバーのほとんどがインド人という、めちゃくちゃグローバルなスタートアップですね。
小林 大河 氏 （ 日本XRセンター）によるVRを使ったピッチ
ー 太秦NINJA PITCHは、京都らしさを随所に感じられるピッチでしたが、今後地方で開催されるビジネスピッチは、どうあるべきだと考えますか？
山本：各地方で行われるピッチは、どうしても「東京のミニ版」のような形式になりがちです。本当は「その地域の特色を活かしたスタートアップ支援を行うこと」が、地方における、理想的な支援の形なのではないかと、以前から考えていました。
京都は特に独自の価値を持っている地域なので、京都でしか出来ないピッチ、京都らしさを全面に押し出しました。
見せ方･切り口を変えれば、別の魅力を引き出せる。
新しいピッチの形の「先行事例」になったと思います。
一般社団法人日本エンジェル投資家協会では、エンジェル投資家向けの「エンジェル会員」、スタートアップを支援している自治体や企業･団体向けの「パートナー会員」を募集しています。
会費は無料です。ぜひ一緒にスタートアップの成長を支える活動をしませんか？
詳しくはこちら → https://j-angel.jp/
ピッチの後は、京都映画村で年1度だけ開催される『太秦 江戸酒場』に合流しての打ち上げ。まるで江戸時代にタイムトリップしたような、最高な一時を、参加者全員で味わいました。
美しい京都のお酒や名店の食事に舌鼓を打ち、日本が誇る伝統芸能を心ゆくまで楽しんでいただける、粋で大人が楽しめる夜祭りです。
